経験したことのない事例に遭遇したときや、個々の事例で行き詰まったとき、私たちが頼りにするのが文献です。自分が知らないだけで、本当はすでに多くの事例が報告され、対応法についても一定のコンセンサスがあるという場合は、教科書やモノグラフに一般化された文献が多くあります。多くの人が経験しているが、まだコンセンサスの得られた対応法はないという場合は、専門誌などの研究論文を検索する必要があります。珍しい事例では、似たようなケースを誰かが過去に報告していないかどうかを調べます。同様の事例がまだほとんど知られていないと思われた場合には、自分で報告することを考えます。 本誌は自閉スペクトラム症の専門誌ですので、教科書やモノグラフに収載されるほどのコンセンサスが得られていない新しい知見を掲載することがその使命となります。したがって、投稿に際しては、統計学的手法を用いた複数例の解析であっても、実践報告であっても、その試みが歴史的にどのような位置づけになるのかを明確に意識することが重要です。たとえ一事例の報告でも、その事例の実践に際して過去の文献に当たり、どこまでコンセンサスが得られ、何がまだわかっていないのかを整理した上で実践を行い、論文にまとめる際にはそのことを明示して論文を書くことを意識してください。 本誌が日常の実践に重要な手がかりを示すデータベースとなり得るよう、良質な論文の投稿をお待ちしておりま す。