2020 年 17 巻 2 号 p. 33-40
本研究では、知的障害を伴う自閉スペクトラム症がある小学3 年生の男児が一定時間一人で活動ができることを目標に、ワークシステムを用いた指導を行った。まず大学のセッションルームで指導した後に、身につけた行動の般化を目的に同様の環境を家庭にも設定して指導を続けた。その結果、いずれの環境においても指導の継続とともに援助を必要とする場面は少なくなることが観察され、ワークシステムによる支援が自立した活動遂行に対して効果的であることが示唆された。その一方で、課題への従事は課題選定によって大きく左右されることも観察され、ワークシステムを用いた指導を効果的に行うためには対象児の興味や関心を生かした課題を設定していくことの必要性が今後の課題として残された。