自閉症スペクトラム研究
Online ISSN : 2434-477X
Print ISSN : 1347-5932
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就学前の自閉スペクトラム症児の母親における育児ストレス
質的データによる日米比較
ポーター 倫子ラブランド キャサリン山根 隆宏森本 佳奈ポージー ヤナ
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2021 年 19 巻 1 号 p. 23-31

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抄録

本研究の目的は、日米の就学前の自閉スペクトラム症児(ASD 児)の母親への面接を通して育児ストレスを比較し、文化に影響された要因を明らかにすることである。方法として、日本23名と米国24名のASD 児の母親を対象に、半構造化面接を行った。育児ストレスの要因を育児ストレスインデックスの下位尺度を既存概念として用い、演繹的に分析した。その結果、両文化に共通したストレスの要因としては、子どもの問題行動や発達の偏りや遅れ、ASDの特徴による周りの子どもとの違いであった。日米の主な違いとしては、米国の場合は親役割に関連したストレスが非常に強く、子どもの療育や世話などによる時間的な束縛感やスケジュール管理の難しさ等が述べられた。また日本の特徴として、保育現場で目撃したわが子と定型発達児の違いを見て落ち込むなどの集団重視の文化による影響や、母親は自己を犠牲にし、子どものために尽くさなければならないといった役割社会の影響などが示唆された。

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© 2021 NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
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