2021 年 24 巻 p. 15-38
感動のある人生は幸せであり、またビジネスにおいてもコモディティ化からの脱却、イノベーションによる成長が求められる中で、差別化要素として企業経営の中に感動を科学的かつ体系的にデザインすることが必要となっている。これまで筆者らは、感動の構成要素であるSTAR(Sense、Think、Act、Relate)フレームワークを用い、感動する製品やサービス設計の研究を行ってきた。一方で、個々の組織構成員レベルにて感動を発掘し共有することが、イノベーションや高パフォーマンスを促進する組織開発に有効であることの検証は行っていなかった。このため、筆者らは、感動ストーリーの発掘・共有ワークショップを開発した。本研究では、冷静な記述の場合と、感動ストーリーの共有・発掘ワークショップを用いた場合との評価比較を行い、本ワークショップがアイデア発想に有効であること、成果物における感動度が高くなること、そして組織開発に対して有効であることを明らかにした。