抄録
近年「概念」は、創造的認知プロセスの説明や知識伝達のためのカリキュラム設計の基礎となっている。本研究では10-12歳児童がアイディアを発想する際、情報の抽象度を上げた「概念」を使おうとする態度を育成することを目的としている。その方法として「概念」使用の有効性を児童が実感できることを目指したポンプチャートを開発した。ポンプチャートを用いた授業では「具体→抽象(概念)→新具体」のように「概念」を基軸として、はじめの具体を新しい具体へ転換する学習を行う。「概念」を使用する態度の向上を確認するために「概念」明示の授業では著者が考案したポンプチャートを用い、概念を明示しない授業ではブレインストーミングを用いる。そして両者の比較を行う。その結果「概念」を明示すると児童はアイディアの質(流暢性・柔軟性・独自性)が向上することを実感でき、今後のアイディア発想において「概念」を使用する志向性の向上が確認できた。