日本女子体育連盟学術研究
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原著論文
運動会の集団演技指導を行う教師の意欲の形成プロセス
―小学校教師へのインタビューを通して―
白井 麻子
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2020 年 36 巻 p. 17-29

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抄録

表現運動の学習を,運動会の集団演技発表に向けた練習に置き換えている小学校現場が多く存在する。その背景には表現運動の学習内容がわかりにくい,指導に自信がないといった教師達の悩みが内在する。そこで本研究は,表現を運動会指導に置き換えている学校でインタビューを行うことにより,集団演技指導の現状を探り,表現運動の学習を生かした集団演技発表にできるよう,その糸口を探究することを目的とした。

研究方法は,集団演技指導を行った10人の小学校教師を対象に,半構造化インタビューを実施した。インタビューから得られたデータは,修正版グラウンデッドセオリーアプローチ(M-GTA)を使用して分析した。

その結果,17の概念と6つのカテゴリが導き出され,ここから,運動会の集団演技を指導する教師は,自由な表現運動への不安と指導内容に関してプレッシャーを感じながら,コミュニケーションや集団活動を通して協同で学びを育む活動であると認識していることが明らかになった。

運動会の集団演技の指導に関する教師は,課題づくりに関する不安とプレッシャーの中で,学習者の良い動きを引き出す工夫を心掛け,指導意欲の向上を意識していることが示唆され,表現運動の学習の実施とその学びを集団演技に連携させていくための課題が明らかになった。

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© 2020 公益社団法人 日本女子体育連盟
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