日本精神保健看護学会誌
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社会適応度査定のための総合評価尺度(GAS)の信頼性および妥当性の検討
羽山 由美子川野 雅資
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1992 年 1 巻 1 号 p. 35-44

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抄録

いくつかの社会適応尺度のなかでも、EndicottとSpitzerらによって作成された総合評価尺度、The Global Assessment Scale (GAS)は、精神医療の多職種によって使用可能な、実際的かつ有効な尺度である。本研究では、30名の入院および通院患者(精神分裂病)にGASの査定を行い、評定者間信頼性と併存妥当性を吟味した。2名による評定者間信頼性はr=.835と高い係数が得られた。また、面接による日常生活適応尺度(10項目)、病状尺度(PEF、12項目)との併存妥当性は、2名の査定者でそれぞれr=.631から.837の範囲で高い相関が認められた。さらに、GASは入院患者と通院患者を統計的に有意に識別するだけのsensitivityがあることも示された。単一項目の総合尺度であるGASは、長期間にわたって患者群を追跡するような場合に有効であると考えられる。精神科看護のケア評価にもおおいに活用されることが期待される。

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© 1992 一般社団法人日本精神保健看護学会
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