日本精神保健看護学会誌
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薬物依存症者にとっての精神科病棟への入院体験 : 複数回の入院を体験した人の語りから
寳田 穂武井 麻子
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2006 年 15 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

薬物依存症者は、入退院を繰り返す傾向にある。しかし、薬物依存症からの回復における入院中の看護の意義や限界は明らかになっていない。目的:薬物依存症で精神科病棟への複数回の入院を体験した人の語りを通し、入院体験の様相を描き出し、入院中の看護の意義と問題を明らかにする。方法:半構造化インタビューによる質的帰納的研究。11名の語りを分析し再構成した。結果及び考察:薬物乱用は「迫害的罪悪感」を生み、さらにその罪悪感が強迫的な薬物乱用に追いやるという悪循環をもたらしていた。対象者は語る言葉をなくし、語りたくても語れないでいたが、リハビリ施設の仲間の中で自分の言葉を見出した回復者は、自分を「見捨てなかった人」を改めて見出せるようになった。また、医療関係者の薬物依存症への理解の乏しさも語られた。入院中の看護には、「罪悪感」のワークスルーや「回復に関する情報提供」にも意義があると考えられた。現在病院には「回復者のモデル」がないという限界があり、自助グループ等の情報を提供するなど、患者もスタッフも回復が信じられる方策が必要である。

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© 2006 一般社団法人日本精神保健看護学会
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