日本精神保健看護学会誌
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精神科長期入院患者の退院を支援する看護実践の構造
田嶋 長子島田 あずみ佐伯 恵子
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2009 年 18 巻 1 号 p. 50-60

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抄録

本研究の目的は、精神科長期入院患者に対する退院支援として看護者が行っている関わりの構造を明らかにすることである。1県下の精神医療機関9箇所に勤務する25人の看護者に半構成的インタビューを行い、語られた内容をKJ法で分析した。看護者は退院支援として、「患者」「家族」「退院支援チーム」に対してかかわっていた。分析した結果、患者に対する働きかけは9カテゴリー、家族に対する働きかけは7カテゴリー、支援チームに対する働きかけは6カテゴリーが見出され、<退院への意向を育む><退院の方向性を推し進める><退院への始動を助ける>の3段階にまとめられた。看護者は、患者が自尊心を取り戻す支援を行い、患者のセルフケア能力のレベルや患者の不安に合わせて退院に向かうペースを決めていた。また、家族と患者の関係の再構築に働きかける役割や、患者の能力や家族の受け入れに合わせて支援チームを調整する役割を果たしていた。

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© 2009 一般社団法人日本精神保健看護学会
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