日本精神保健看護学会誌
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うつ病回復者の生き方の転換 : 「状況構成」という視点から
近田 真美子
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2009 年 18 巻 1 号 p. 94-103

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抄録

本研究は、うつ病回復者の生き方の変更の有無とその内容を「状況構成」(Tellenbach、1976)の視点から明らかにすることを目的とした。対象者はうつ病回復者5名である。1名につき3、4回半構造化面接を実施し、逐語録を状況構成の軸と、《発病まで》《発病時》《現在》までの時間軸に分類し状況構成の変化を分析した。その結果、対象者には状況構成の変化がみられ、その共通点として、1)職業領域から自己領域へシフトしていたこと、2)対人関係から撤退していたこと、3)ありのままの自分を吐き出せる「受けとめ」としての役割をとる人や環境が存在していたことが明らかとなった。以上より、看護援助の視点として、自己との和解を視野に入れ、身体性の回復を図ること、1人ひとりの状況構成を考慮した上で一体化していた領域から一旦引き離す必要があること、状況構成を脅かすことのない他者や環境の存在により状況構成が変化する契機となり得る可能性があることを論じた。

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© 2009 一般社団法人日本精神保健看護学会
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