日本精神保健看護学会誌
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セルフヘルプグループに参加しているうつ病者の体験
大江 真人長谷川 雅美
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2012 年 21 巻 2 号 p. 11-20

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抄録

本研究の目的は,うつ病のセルフヘルプグループ(以下,SHG)に参加しているうつ病者の思考や感情の体験を明かにすることである。SHGのメンバー15名を対象に参加観察,半構造化面接によって収集したデータを質的に分析した。対象者は,【うつ病による肩身の狭さ】,【理解されない辛さ】という周囲から孤立した感情を抱え生活していた。そのような背景を抱えてSHGに参加し,SHGを【うつ病を仲間とわかちあえる居場所】と位置づけていた。さらに,SHGで【うつ病の理解と受容】をすることを学ぶと同時に,【グループメンバーとしての充実感】を感じていた。しかし,対象者はうつ病の知識の曖昧さや,うつ症状を抱えながら当事者のみでSHGを運営することから生じる【ピアサポート能力の限界】により,SHG運営の困難さを感じると同時に今後の活動の方向性を検討していた。以上より,うつ病者が出会い,語り合える場としてのSHGの重要性,有効なSHG運営のために専門職に求められるサポートのあり方が示唆された。

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© 2012 一般社団法人日本精神保健看護学会
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