日本精神保健看護学会誌
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精神科慢性期病棟における看護師が認知する看護ケアの魅力とその構成概念
木村 美智子
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2014 年 23 巻 1 号 p. 61-69

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抄録

本研究は,精神科慢性期病棟で働く看護師が看護ケアに際して,どのようなところに魅力を感じているのかを明らかにすることを目的とした.半構成的面接による質的記述的探索的研究であり,精神科慢性期病棟で働く19名の看護師の語りを,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて継続比較分析を行った.精神科慢性期病棟の特徴は,《一見澱んだ空気が蔓延しているような土壌》のような職場環境であるが,そうした中で,《社会復帰に向けての要としての存在》としての役割に看護ケアの魅力を感じていた.看護師は,社会復帰に向けてさまざまな看護ケアを駆使し患者と関わり合うことで《諦めの中に見る患者の変化》に看護ケアの魅力を感じた.さらに患者との関わりから看護師自身に《満たされる思いによって沸き起こる看護への熱意》という看護ケアをなすことへの魅力を感じた.看護ケアの魅力は3つのカテゴリーと10のサブカテゴリーで示されていた.看護ケアの魅力は,《枠に当てはめない患者主体のケア》《人間対人間の深い心のふれあい》を軸とした【慢性状態に固着した患者の看護ケアの深淵さへの触知】であった.

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© 2014 一般社団法人日本精神保健看護学会
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