日本精神保健看護学会誌
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研究報告
怒鳴る患者―精神科療養病棟に入院中の高齢患者が訴えるもの―
水埜 ゆかり
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2018 年 27 巻 2 号 p. 19-28

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抄録

この研究の目的は,精神科療養病棟で「怒鳴る」という行為を続ける高齢患者とのかかわりを記述することを通して,その行動の意味を明らかにしようとするものである.研究参加者は高齢で,車いすや歩行器を使用している女性患者3名で,週1回,計50回フィールドワークを行った.

その結果,研究者が怒鳴られても辛抱強くかかわり続け,率直な自分の感情を伝え続けるうちに,怒鳴るという行動は和らぎ,感情を押し殺すのでも,かといって爆発的に噴出させるのでもなく,言葉のやり取りを楽しむようになった.そして,彼らはこれまで身体の自由を含め,喪失や非道処遇(虐待)を繰り返し体験しており,「怒鳴る」背景には孤独と不信,甘えたくても甘えられないことへの憤懣,思いが通じ合わないことへの苛立ちがあることが明らかになった.言葉によるコミュニケーションが不可能のようにみえた患者たちも,自分を表現する力をもち,その機会を待っていたのであった.

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© 2018 日本精神保健看護学会
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