2023 年 32 巻 2 号 p. 23-31
本研究は,精神障害者が安定した地域生活を送るための支援の一つに,Deeganが提言するPersonal Medicineに着目した.地域生活を送る統合失調症をもつ人のPersonal Medicineを明らかにすることを目的に,地域で生活を送る統合失調症をもつ16名を対象に半構造化面接調査を行った.Graneheim, & Lundmanによる内容分析の結果,184コードが抽出され,【自身に合ったライフスタイル】【メディアを通じた活動】【目的をもった外出】【他者やペットを頼る】【精神症状の認識や思考への働きかけ】の5つのカテゴリが明らかになった.
Personal Medicineの根底には「主体性」のある選択や活用による効果の「実感」があり個人に合ったライフスタイルが構築されていた.統合失調症をもつ人の安定した地域生活に向けてPersonal Medicineに視点をおく重要性が示唆された.