応用統計学
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特集: マーケティング
ID付きPOSデータを用いた新製品採用時期に基づく消費者分類モデル
伴 正隆
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 44 巻 3 号 p. 145-160

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抄録

マーケティングでは,複数ブランドの中から一つのブランドを選ぶ消費者行動をブランド選択と呼び,この行動は消費者間の異質性を表現するために,階層ベイズ・ロジットモデルやプロビットモデルなど離散選択モデルでモデル化されるのが一般的である.本研究では新製品採用者を採用時間順にクラスタリングするブランド選択モデルを提案する.具体的には,時間順にクラスターを形成する制約を設けたディリクレ過程を事前分布にもつ階層ベイズ・プロビットモデルによって構築している.モデルの特徴として,(1)クラスター数の推定が可能となり,従って分析に際して事前にクラスター数を設定する必要が無く,(2)時間順にクラスターが形成されることで,クラスター間の区切りとなる変化点の推測がなされる.これにより消費者は市場反応の類似性を基準として新製品採用時間順に適切なクラスターに分類される.このモデルの推定結果はRogersのイノベーション普及過程や製品ライフサイクルマネジメントといった,時間順のクラスターを含むマーケティングの概念に対応した有用な情報を与えるものである.モデルはマルコフ連鎖モンテカルロ法によって推定されるが,とくにディリクレ過程のパラメータ推定にはメトロポリス・ヘイスティングス法をベースとしたNeal (2000)のサンプリング法をクラスタリング制約に対応させたもので行う.

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© 2015 応用統計学会
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