抄録
混成対数正規分布とは,正値確率変数Xに対して,パラメータρを含む変換1nρX+pX後の変数が正規分布N(μ,σ2)に従う分布のことである.本分布は放射線に被曝する作業に従事する作業者の線量分布が,被曝低減管理の影響を受けて,管理の弱い場合は対数正規分布側へ,また管理の強い場合は正規分布側へ近づくことをモデル化したものである.本論文では,混成対数正規分布の性質と発生機構を述べ,線量分布および他の種類の分布へのあてはめ例を示す.加えて,それらの分布の背後にある現象と分布形との対応に対して可能な解釈を示す.本分布はその極限分布として一方に対数正規分布を持ち,他方に正規分布を持つ新しい形式の分布システムを構成する.