石油技術協会誌
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東北裏日本海域の石油地質
鈴木 宇耕
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1979 年 44 巻 5 号 p. 291-307

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抄録

東北裏日本海域の石油地質は,その特徴が当域の堆積盆地の発達史に密接に関係しているものとしてとらえられた。
従来,海域の層序は陸上の層序からのおしすすめで解釈されていたが,一方,海域での層序から逆に陸域の層序を見直す作業も広域的な地質をまとめる上で重要である。海域で掘さくされた坑井の大部分は陸上にくらべ,互いに良好な古生物学的対比が可能であるので,各盆地ごとに時代とgenetic unitを関連づけた層序を確立し,それらを各隣接陸域へあてはめることで,同一時間を基準にした広範囲の新しい一連の古地理が復元された。そこで,堆積盆地の発達史がこれらの古地理図と堆積速度データおよび盆地堆積モデルを併せ考えることによって,次のようにまとめられた。
西黒沢-七谷階初期に形成された地塁に境される地溝部へ西黒沢-七谷階の海が侵入したことにより堆積盆地が形成され,女川-初期寺泊階にも海進が引続いたことによって一大堆積盆地が発達した。後期女川-中期寺泊階に,グリンタフプラットホームの名残りおよび中生代花崗岩地域がサブマリンリッジまたは陸として上昇したことが,この大堆積盆地の分化のはしりとなった。分化した各堆積盆地の現在の形態への発達は地域によってずれがあるものの,後期船川-中期椎谷階から現世にかけての盆地内リッジや広域的な陸の隆起運動の影響を受けて行なわれた。現在認められる各堆積盆地の地層の特徴は,堆積の中心が時代とともに北西方向へ移動するのに伴った広域的な堆積作用の影響,ならびに盆地の分化や現在の形態への発達に関した地域的な造構造運動の影響に加えて,汎世界的に行なわれた海進-海退の影響も受けて地層が堆積したことによる。
したがって,当域の石油地質はその特徴が次のようにまとめられる。
中新世~鮮新世の泥岩のほとんどが石油根源岩としてのポテンシャルを有す。これらから石油が生成され始めるのに必要な埋没深度は約2,000~3,300mである。
タービダイト砂岩は,サブマリンファン堆積モデルの導入で予測をつけやすいという面で,最も対象となる貯留岩にランクされる。
トラップの型は種々のものが認められるが,それらの分布は現在の構造系列帯によって決められているようである。
トラップの形成時期はおもなものは出羽変動時である。これには地域によって時間のずれがあり,このずれは分化後の各堆積盆地の現在の形態へ変化する時期の地域的差異によるものと思われる。一方,グラビティスライデング地域で見られるいくつかのトラップは第四紀に破壊されている可能性がある。

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