石油技術協会誌
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変動帯におけるビトリナイト反射率-埋没深度関係: 直接積分法によるシュミレーション
山路 敦
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1986 年 51 巻 3 号 p. 197-204

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抄録

有機熟成は1次反応と考えられており, これにより反応速度式が導かれる。従来は, この式を差分法で解くことにとって熟成度の予測が行われていた。しかし差分法は一般に方程式系の構造について良い見通しを与えるとはいえない。この点については反応速度式を直接に積分する方法が優れている。埋没史•熱史が時間の簡単な関数に帰着できる場合には, 積分を解析的に解くことができることがその理由である。
本論文では, 4通りの基本的なテクトニック•モデルについてビトリナイト反射率と埋没深度との関係を解析する。
このモデル計算の結果のうち重要なものを述べる。従来, ビトリナイト反射率の対数と深度は直線関係を示すことが強調されて来た。しかしこの関係は造構運動の終息した古い堆積積盆でしか成立しないことが明らかになった。
温度と時間の熟成度への影響を調べるにあたり, 従来は中生代あるいは第三紀の古地温を推定せざるを得なかった。しかし直接積分法は現在も堆積が続行している地域に適用可能であるから, 第四系•上部第三系のデータをこの方法で処理することにより, 温度•時間•熟成度関係を調べることができる。堆積盆ごとにこの関係を解析することも原理的には可能である。

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