アジア•パシフィック地域におけるインテグレーテッドソリューション (IS) の現状と展望

抄録

今後の10年ないし20年間, アジア太平洋地域と中国が世界で最も急速に経済成長を遂げるであろうことは衆目の一致するところであり, これらの地域では上流エネルギー部門の大変革が起こるものと予想される。その変革要求に対応して, 石油会社と問題解決提供者 (サービス会社) は来たるべき世界最大の経済共同体のエネルギー需用に応えるべく連帯を深める道を模索している。
アジア太平洋地域および中国においても, その市場は他の世界市場と同様に石油産業の実利的要求に大きく影響を受けるため, これら地域の石油産業は急増するエネルギー需用の挑戦に応えるよう自らを変革しなければならない。この変革の一部分として, また, 対応策研究の成果として integrated solutions (総合的問題解決手法) が, 今後発展の見込めるビジネス選択肢として前面に浮かび上がってきた。最上の価値創造を達成できる関係を求めて, 多くの石油会社がサービス会社に対して問題解決を図る随伴者としての役割を担わせている。石油会社はサービス会社に対する力点をサービスと製品の送りだしから, 問題解決手段の提供へと移しており, 解決手段提供者に求められる役割分担は明確になりつつある。
本報告は integrated solutions に触発される石油会社とサービス会社の提携に焦点を当て, 不適当な提携がいかに問題解決手法の有用性を損なわせ, 問題解決の道を閉ざすかについて説明している。
この中で述べられる主題は以下のとおりである。
•作業遂行形態を変えることがアジア太平洋地域, 中国にとって基本的条件となるのはなぜか
•Integrated solutions の多様な定義が, どの程度それら問題解決手段を売り買いする過程に影響するか
•国営石油会社, 国際石油会社, およびサービス提供会社間での作業遂行上の障害
•なぜ integrated solutions は概念に根ざし, 業績を向上するか
•なぜサービス会社は integrated solutions を発信できるのか
•買い手側保護手段構築の必要性
本報告はこれまでアジア太平洋地域, および中国で行われた integrated solutions 施行の実績から導かれる所見に触れ, さらに integrated solutions の売り手と買い手の連携を確実にするための提案を行っている。