石油技術協会誌
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大水深掘削時地震探査法の開発
鎌田 正博笠松 隆幸
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2000 年 65 巻 5 号 p. 450-458

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抄録

掘削同時地震探査法(Drill-Bit Seismic While Drill-ing)は,陸上,海洋での作井で長年使用され,その作井にかかる費用の削減と掘削中の危険防止に貢献してきた。この技術は,ドリルビットが発生する掘削音を地震探査の音源として,地上に設置されたセンサーで信号をとらえるもので,通常のVSPの震源とレシーバーの位置を入れかえただけだが,ノイズの多い地上にレシーバーがあるので,数々の信号処理を行うことにより,作井にかかわる貴重な情報を掘削中に提供する。
この技術は,時間と深さ関係,地層の音速を測定し,掘削中にドリルビットの位置を地震探査図の時間軸を深度に変換し,その上に示すものである。VSP画像処理を使ってドリルビットの前方を示し,異常高圧層にビットが接近していることをモニターすることができる。これは,作井費用を削減し,危険防止に貢献する。
近年,海底センサーアレイは500mの水深まで展開でき,イシドネシアの沖で水深480mの軟弱層の掘削に用いられ,ケーシングを予定していた地層の境に設置することに貢献した。
さらにこの技術を3,000mの大水深掘削に適応するため,OCCの協力を得て,垂直けい流用のケーブルを開発した。このケーブルには,海流により誘起されるヴォルテックスを防止するため,特殊なフェアリングが施されている。ヴォルテックスは海流によるケーブルにかかる力を増大し,信号の計測に悪影響を及ぼす雑音になる。この技術はメキシコ湾で水深1,280mの海底油田開発で使用された。時間と深さ関係は,.ローラーコーンビットを使った軟弱層の掘削で3,810mまで測できた。
このような情報は掘削前の地層の地震波音速構造を作井中に校正することができ,掘削前の深度の推定の違いによって突然異常高圧層に出会うような,予測できない事態を防止することに貢献する。

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