質的心理学研究
Online ISSN : 2435-7065
複線径路等至性アプローチにみる看護教員の力量形成プロセス
臨床現場から立ち上がった問いと対峙し続ける教員の語りから
田中 千尋サトウ タツヤ土元 哲平宮下 太陽
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2021 年 20 巻 Special 号 p. S211-S218

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抄録

本研究は看護教員の経験に着目し,力量形成プロセスを明らかにすることを目的とする。教育実践経験 11 年の教員の語りを,複線径路等至性アプローチ(TEA)を用いて分析した。さらに分岐点に着目し,看護教員がイマジネーションの助けを借りてどのように新たな次元を見出しているか可視化した。分岐点では「専門性の混在」がトリガーとなり,様々なせめぎ合いの中で「自身の学生時代のケアリング体験」や「看護学生の可能性」がリソースとして働き,看護教員は看護の価値を考え続けていた。そのプロセスは【看護教員として学問領域を超えて学び臨床に還元する】という展結(transduction)的解として見出された。教員の力量形成プロセスにおける分岐点には,記号の創造とせめぎ合いが存在しており,文化を創造する一人の教員の姿が明らかとなった。

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© 2021 日本質的心理学会
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