第四紀研究
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特集「“ナウマンゾウのいた頃”―千葉県袖ケ浦市吉野田の化石発掘調査報告―」
更新統下総層群清川層にみられる海水準上昇初期の洪水堆積物
岡崎 浩子中里 裕臣池田 宏
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2006 年 45 巻 3 号 p. 157-167

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抄録

常総台地に広く分布する更新統下総層群清川層は, 陸成~浅海成層からなり, 下部に指標テフラKy2, Ky3 (TB-7, 8) を挾み, MIS7.4~7.2の間の1回の海水準変動に対応した堆積シーケンスを形成している. 近年, 多数の陸生脊椎動物化石や淡水生貝化石, 植物化石などを含む“化石密集層”が袖ケ浦市吉野田の清川層の河川氾濫原相から発見され, その層相と化石群組成から洪水堆積物であることが明らかにされている. また, 調査地点周辺の清川層の河成層は, 河川システム (ポイントバー相+氾濫原相) が2段に重なる. このような特徴を下総層群の他の累層の河成層と比較すると, 亜氷期に河川によって侵食された谷が, 亜氷期から亜間氷期にかけて, 後背地からの十分な砂礫の供給によって埋積されるという形成過程が推測される. このような河川環境が, 清川層での頻繁な河道変化や洪水による氾濫をおこした可能性が高い.

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© 2006 日本第四紀学会
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