第四紀研究
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論説
河成段丘面を指標にした富山県東部魚津断層帯の第四紀後期活動性評価
松浦 旅人吉岡 敏和古澤 明
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2007 年 46 巻 1 号 p. 19-36

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抄録

富山県東部魚津断層帯の第四紀後期活動性を把握するために,空中写真判読による活構造抽出および段丘面分類,地表踏査・ボーリングによる段丘構成層・レスの試料採取および火山灰分析・初期磁化率測定を行った.河成段丘面は,古い方から高位面(H1~H4面),中位面(M1面),低位面(LH1面,LL1面,最低位段丘面群)に区分される.これら段丘面上にのるレスは,AT, DKP, K-Tz, U-1などのクリプトテフラ(cryptotephra)を含む.レスの基底年代は,レスの層厚を,テフラ降下年代から推定した堆積速度で除して算出された.その結果,H2,H3,M1,およびLH1面にのるレスの基底年代はそれぞれ280~310ka, 240~260ka, 155~165ka, および60kaにさかのぼると推定された.これらレスの基底年代を段丘面形成年代とみなし,段丘面に生じた魚津断層帯の鉛直変位量を除して求められた平均鉛直変位速度は,最速で0.24~0.44m/ky以上と算出され,既報値(1m/ky以上)の1/2~1/3以下に修正される.

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© 2007 日本第四紀学会
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