第四紀研究
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特集「津波堆積物と地震性タービダイド:防災・減災のための堆積物記録の理解」
津波による地形変化の実例と流体力学的説明の現状
首藤 伸夫
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2007 年 46 巻 6 号 p. 509-516

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抄録

津波によって過去に生じた地形変化例を,原因となる津波の大きさや流速の判明するものを重視して取りまとめた.観察された現象の裏づけをしようとする流体力学的な説明の試みを紹介し,その課題を明らかにする.
砂州・トンボロ・砂嘴の切断は,津波によるだけでなく,開口後の潮汐の影響をも考慮する必要がある.水路での水深変化の最大値は約10mにも及んでいるが,これを再現する数値計算では,約5mとほぼ半分に止まっている.最大の問題は流速の再現性にある.堤防破壊条件を取りまとめると,流体力学的に見てもほぼ首肯しうる結果となっている.
陸上での堆積厚のほぼ上限値を実例により示した.陸上での堆積作用に関しては,流体力学的解析に必要な諸関係式が整っていない.その手始めとして,堆積物運搬距離と津波諸元との間に満たされるべき関係を示した.

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© 2007 日本第四紀学会
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