第四紀研究
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論説
佐渡島国中平野南西部における沖積層のボーリング調査による古環境と地殻変動
太田 陽子松原 彰子松島 義章鹿島 薫叶内 敦子鈴木 康弘渡辺 満久澤 祥吾妻 崇
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2008 年 47 巻 3 号 p. 143-157

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抄録

佐渡島の国中平野南西部,真野湾岸,国中南断層の下盤に位置する4地点において,深度最大80mのボーリング調査から得られたコアについて層相観察,貝類群集解析,有孔虫・珪藻・花粉などの微化石分析と14C年代測定を行い,完新世における古環境変化と海水準変化,地殻変動を考察した.本地域では,完新世海進は約8,000yrsBPに始まって急速に進み,海面高度は約7,000~6,000yrsBPには現海面よりやや高くなり,5,000~4,000yrsBPには現在と同じ,ないしはわずかに高く,それ以降は湿地性の陸域となった.復元された完新世海水準変化曲線は,ハイドロアイソスタティックな観点から計算された海水準変化と大きな差異はない.完新世海成段丘の高度からは佐渡島は隆起地域にあたるが,活断層下盤側の国中平野では顕著な隆起も沈降もなかったと思われる.

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© 2008 日本第四紀学会
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