第四紀研究
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論説
島根県,鮮新—更新統江津層群テフラ中に産するコランダム,トパーズ,紅柱石,ガーネットの起源
立石 良沢田 順弘
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2008 年 47 巻 5 号 p. 299-311

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抄録

島根県中西部に分布する鮮新—更新統江津層群のテフラ中から,コランダム,水酸化Al鉱物,トパーズ,紅柱石,ガーネットを発見した.本論文では,これらのAlに富む鉱物の形態と組成,それらを含むテフラの堆積学的特徴,およびテフラより下位の砂層中の重鉱物を報告し,Alに富む鉱物の起源について検討した.Alに富む鉱物は,再堆積の影響がほとんどないテフラにも含まれており,自形ないし摩耗されていない形態を考え合わせると,火山噴出時のテフラそのものに含まれていた可能性が高い.このことは,テフラの下位の砂層中にAlに富む鉱物が認められないことからも支持される.さらに,基盤岩中の鉱物に関する既存の研究や,テフラと基盤との空間的関係からも,岩屑起源の可能性は低い.Alに富む鉱物の起源はマグマ中の捕獲結晶か,マグマと周囲の泥質または石灰質岩との間の反応生成物と考えられる.これらの鉱物はテフラの特徴を示すものであり,テフラの同定や鍵層としての有効性を示すものである.

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© 2008 日本第四紀学会
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