2009 年 48 巻 1 号 p. 11-17
跡津川断層は,富山・岐阜県境に位置するNE—SW走向,長さ約64 kmの右横ずれ活断層である.跡津川断層の最新活動は1858(安政5)年の飛越地震とされているが,その際,断層東部が破壊したかどうかは見解が分かれていた.本研究では,跡津川断層東部にあたる岐阜県飛騨市神岡町佐古において,未報告の断層露頭を発見した.断層により切断されている砂礫層の放射性炭素同位体年代測定値は100±30 yrs BP, 140±30 yrs BPであった.このことから,少なくともこの地点では飛越地震の際に,断層変位が生じたといえる.加えて,既往のトレンチ調査等の結果と合わせて考えると,最新活動時に跡津川断層全体が破壊した可能性が高い.