2007年の6地点のピストンコア試料と,2008年2地点のボーリング試料から得られた火山灰編年による過去5万年間の琵琶湖の堆積物層序を明らかにし,従来得られていたコアの情報も含めて,琵琶湖におけるマルチサイト間での相違についても議論した.琵琶湖北湖では,南北の湖盆とその間の鞍部とに区分された湖底地形区分と対応して,北湖南部湖盆で平均的な堆積速度は1 m/kyrsを超え,鞍部で0.3~0.4 m/kyrsとなる.北湖北部湖盆の東部にあたる長浜沖では,水深40 mを境に堆積速度の様相が変化することが明らかになった.また,地形的鞍部における南北方向の堆積速度の相違は,湖岸からの堆積物供給量に左右されている可能性がある.