高校における地理の授業において,既存の教科書の内容だけでは広い世界を理解することが難しい.そのため,生徒の慣れ親しんでいる身近な地域を教材化し,科学的に地域を観察する姿勢を培うことを意識した授業を実践してきた.教材化には,既存の資料の整理だけでなく,自らの研究成果を盛り込んだものも必要である.これまでに,筆者は東京都の地形,東青梅付近の河岸段丘と地下水,カルスト地形の教材化と授業の実践を行ってきた.河岸段丘と地下水の授業ではフィールドワークも取り入れているが,これは自らが研究をしてきたため可能となった.フィールドワークの教育効果は高いが,実施には困難がある.