第四紀研究
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論説
兵庫県播磨灘北部沿岸域における過去数百年間の珪藻群集と海洋環境の変化
吉岡 薫廣瀬 孝太郎入月 俊明河野 重範野村 律夫後燈明 あすみ岩井 雅夫
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2012 年 51 巻 2 号 p. 103-115

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抄録
兵庫県赤穂市坂越湾と相生市沖で採取した柱状試料を用いて,過去約数百年間の珪藻群集および堆積物の全有機炭素(TOC)・全窒素(TN)濃度の時空間的変化を明らかにした.さらに,珪藻群集と最近の人為汚染・改変との関連性,および1980年代以降の環境保全対策が珪藻群集に与えた影響に関して検討した.各種分析を行った結果によると,播磨灘北部沿岸域では1930年代以降に水域の富栄養化が始まり,その初期段階には珪藻群集が増加しはじめ,1960年代の高度経済成長期において水域の富栄養化がさらに進行した.1980年代以降,坂越湾と相生市沖では,異なる環境変遷をたどったことが示唆され,1990年代以降に坂越湾ではマガキ養殖の影響,相生市沖では播磨灘北部の水質改善の影響を受けたと考えられる.
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© 2012 日本第四紀学会
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