第四紀研究
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「環太平洋の環境文明史」特集号
グアテマラ高地マヤ女性の織りと装いの文化的意義を問う—レジリアンスを視座に
本谷 裕子
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2012 年 51 巻 4 号 p. 207-214

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抄録

グアテマラ中部高地に位置する2つのマヤ村落サンタカタリーナとナワラの事例をもとに,女性用のウイピル(貫頭衣)の変遷を19世紀末から現代へと遡る通時的検証の成果と,フィールドワークをもとに作成した民族誌資料から,マヤ女性の織りと装いのメカニズムを解き明かす.その結果,棒の織機(後帯機)で布を織るといういとなみは,マヤ文明の時代から変わらぬものの,後帯機で織られた布や衣には,時代ごとの改編を加えた独自の進化が見られることが明らかとなった.そこで,その進化の過程を検証し,マヤ女性の織りと装いのいとなみが,自然災害や急速な近代化,外部社会との政治的駆け引きによって断絶化する人々の紐帯をつなぎとめ,再構築していくレジリアンス(回復力)であることを実証する.

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© 2012 日本第四紀学会
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