第四紀研究
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2011年日本第四紀学会学術賞受賞記念論文
最終氷期最盛期以降の海水面変動に関する研究
─大阪湾および播磨灘の海水面変動─
前田 保夫
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2013 年 52 巻 3 号 p. 53-58

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抄録

この研究はおよそ2万年前から現在にいたる間に起きた海水面変動を年代にしたがって,その復元を試みたものである.地質時代の年代は14C年代測定法(放射性炭素年代測定法)の測定値によった.地質調査は従来の方法と違って海底下に設けられた潜函を利用して年代測定の試料を採取した.フィールドワークは主として大阪湾および播磨灘沿岸で行った.
大阪湾に最終氷期最盛期以降の縄文海進の海が進入したのはおよそ9,850 yrs BPであり,海進の最大期はおよそ6,000年前で,海水面は現在を上回る標高+2.2 mに達した.現在の海水面を超える高海水面安定期は6,000~4,000年前で,その後はゆるやかに高低を繰り返して現在の海水面高度に定着した.

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© 2013 日本第四紀学会
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