鬱陵隠岐テフラ(U-Oki)は,姶良Tnテフラ(AT)と鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)の間の層準に産出することから,日本海南部のコア試料の重要な年代指標として利用されてきた.しかし,鬱陵島でのテフラ層序の再構築と14C年代から,U-4テフラがU-Okiに対比され,U-3テフラに対比されるテフラも日本海・日本列島にも広く分布することが確認されたことから,従来U-Okiとされたテフラが,いずれに対比されるのか識別する必要が生じている.本論では,鬱陵島,日本海ならびに日本列島における鬱陵島起源の完新世テフラの層序・特徴・年代について整理し,日本海GH87-2 K-Bコアを含む対比の検討事例,既存データによる対比の再検討,噴火規模の推定を行い,鬱陵島起源テフラの対比手法の有効性,今後の展望について議論した.