第四紀研究
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「第四紀学から防災教育へのメッセージ」特集号
防災教育における第四紀学の貢献
—第四紀学から防災教育へのメッセージに対するコメント—
宍倉 正展
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2016 年 55 巻 4 号 p. 197-202

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抄録

第四紀学は地震,津波,火山噴火,マスムーブメントなどの現象を扱う立場から,それに由来する自然災害の起こりうる場所を事前に評価し,防災対策に役立つ多くの情報を提供することができる.また規模についてもある程度評価でき,より具体的な想定に向けた提案が可能である.それらを踏まえ,防災教育においても第四紀学は様々な貢献が期待できる.まずジオパークの整備では,自然現象のメカニズムだけでなく,人間活動との関わりについて,第四紀学から情報を発信することが災害の理解に繋がる.学校教育ではいつ起こるかわからない自然災害に対し,地域毎のリスクの認知と避難対応などの取り組みにおいて,第四紀学の知見が貢献できる部分が多い.一般市民に向けては,地形,地質,歴史といった地域を構成する要素の特性を,そこに住む人々が理解することが,地域の防災力を向上させるだろう.

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© 2016 日本第四紀学会
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