第四紀学は地震,津波,火山噴火,マスムーブメントなどの現象を扱う立場から,それに由来する自然災害の起こりうる場所を事前に評価し,防災対策に役立つ多くの情報を提供することができる.また規模についてもある程度評価でき,より具体的な想定に向けた提案が可能である.それらを踏まえ,防災教育においても第四紀学は様々な貢献が期待できる.まずジオパークの整備では,自然現象のメカニズムだけでなく,人間活動との関わりについて,第四紀学から情報を発信することが災害の理解に繋がる.学校教育ではいつ起こるかわからない自然災害に対し,地域毎のリスクの認知と避難対応などの取り組みにおいて,第四紀学の知見が貢献できる部分が多い.一般市民に向けては,地形,地質,歴史といった地域を構成する要素の特性を,そこに住む人々が理解することが,地域の防災力を向上させるだろう.