2016 年 55 巻 5 号 p. 211-222
熊本県南西部,二見盆地に分布する二見砂礫層中に挟在する火砕流堆積物を記載し,火山ガラスの主成分化学組成を含めた記載岩石学的特性に基づいて,中期更新世の広域テフラとの対比を試みた.その結果,二見砂礫層中には,計3枚の火砕流堆積物が挟在しており,下位から小林笠森テフラ(Kb-Ks, 530~520ka),加久藤テフラ(Kkt, 340~330ka),阿多鳥浜テフラ(Ata-Th, 240ka)にそれぞれ対比される.これまで後期鮮新世~前期更新世に遡ると考えられてきた二見砂礫層の堆積開始年代は, Kb-Ks噴出以前の中期更新世頃に見直される.