第四紀研究
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化学分析で選別した試料を用いた上北平野のWhite Pumiceテフラ(WP)の熱ルミネッセンス年代
チューンピー ティラポン松浦 旅人西川 治内田 隆高島 勲
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2016 年 56 巻 2 号 p. 51-58

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抄録

青森県上北平野に分布する海成段丘上の中期更新世の未固結White Pumiceテフラ(WP)について,Multiple aliquot regeneration法による熱ルミネッセンス年代を求めた.試料は,甲地(かっち)及び七百(しちひゃく)の露頭から各6及び10個を採取し,溶脱による化学組成変化を評価した.これら16試料について,U,Th,Kという放射性核種を測定した.TL年代測定は,5試料について実施した.これらのうち3試料は187±29ka,230±23ka,229±38ka(加重平均:216±15ka)であり,深海底堆積物コアの海洋酸素同位体比層序から求められたWPの年代(MIS 7b;205-210ka)とほぼ一致した.残りの2試料の年代は165±28ka及び265±33kaであり,既知年代とは一致しない.前3試料はすべての分析データをプロットしたU-K2O,Th-K2Oダイアグラム上の集中域にあるのに対し,後者の2試料は集中域から離れた値を持っている.未固結試料であるテフラのTL年代測定では,化学分析による選別で適正な年間線量を持ったものが測定対象となると予想される.

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© 2017 日本第四紀学会
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