第四紀研究
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「ジオパーク活動の新たな展開:考古学・人類学・土壌学の視点から」特集号
土壌層位は何を語るか?:土壌学からジオパークへのアプローチ
浅野 眞希
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2017 年 56 巻 3 号 p. 137-143

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抄録

日本のジオパーク活動において,大地の変遷と生物・人間の営みを関連付けるために,土壌学的知見の重要性を論じた.ジオパークの構成要素として土壌を認識するためには,土壌を①地域環境の相互作用の結果生成した固有の自然物(土壌体),②生態系の基盤として生態系サービスを提供する存在,③土壌そのものが自然物として科学的価値を持つ,という3つの視点で認識することが重要である.土壌学的知見は,具体的に大きく①ジオヘリテージとしての学術的価値の付与,②地域生態系成立の理解,③農業的伝統文化,産業とジオの関連付け,④環境教育教材として活用,に役立つと考えられた.今後,ジオパークにおけるジオ多様性と生物多様性の相互関係に関する研究の推進のために,他の地球科学分野の研究者と連携して,データを高精度化していく必要がある.

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© 2017 日本第四紀学会
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