東京および周辺に首都直下地震が襲った場合に懸念される二つの地盤災害を取り上げ,筆者達が行ってきた研究を紹介し,今後の課題に関して述べた.一つは地盤の液状化である.1923年関東地震では沖積低地の各地で液状化が発生したが,2011年東北地方太平洋沖地震ではほとんど液状化しなかった.その原因として経年効果により液状化強度が増加したことが挙げられるが,定量的に明らかになっていない.将来の首都直下地震時の予測等に対し研究を進める必要がある.もう一つは谷底低地の地震応答である.関東地震時の水道管や家屋の被害は東京の谷底低地に被害が集中していた.そこで谷底低地で詳細な地盤調査を行い,それをもとに地震応答解析を行ったところ,谷底低地に堆積している腐植土が大きな地震応答を生じさせたと考えられた.将来の首都直下地震に対して局所的に堆積している腐植土を考慮して被害想定などを行っておく必要がある.