2017 年 56 巻 5 号 p. 227-235
「むさしの化石塾」は,第四紀の地層を教材として「化石の調べ学習」を行う第四紀学の学習教室として設立された.無償参加型イベントを行う教室から,「地域自然史」を体系的に学べる学習教室に変わり,有償型イベントを行うようになった.参加者はリピーターとなり反響を呼んでいる.最近では,外部団体からの依頼数が多く,塾生募集は縮小している.当塾では,教育活動と研究活動という2つの柱で事業を推進している.貴重な化石は,自然史博物館に寄贈する仕組みを構築し,実績を積み上げている.このような「第四紀学」の市民インセンティブ(普及活動)を,民間の任意団体として発信している例はほかにはない.当塾は,学校教育,博物館と市民を結ぶ新しい流れを定着させてきた.第四紀学の新しい普及活動の担い手として,今後の活躍が期待されている.