第四紀研究
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「第四紀研究から防災・減災への多角的なアプローチ」 特集号
土砂災害に関わる微地形とハザードマップの地域区分
黒木 貴一
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2019 年 58 巻 2 号 p. 137-148

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抄録

2014年広島市の土砂災害範囲に関しハザードマップの地域区分と比較し,微地形や流域の地形情報と,地域防災単位を重ね合わせ表示する必要性を確認した.さらに雲仙の火山麓扇状地を対象に,土砂災害の注意を喚起できる地域区分を検討し,土砂災害ハザードマップ作成における第四紀学的な考え方をまとめ,以下の4項目に整理した.1)堆積と侵食の地形プロセスで構成される102オーダー年内の地形形成史は,土砂災害に対する地域区分の基礎資料になる.2)標高変化量を地形プロセスに読み替え,その結果を古い順に重ね合わせる空間解析は,地形形成史の理解に相当する.3)地形プロセスの組み合わせに読み替えた地理情報を,種類と規模と順序を考慮して再分類する空間解析は,微地形区分に相当する.4)雲仙のDEMによる地形解析では,微地形から場の安全性の違いを,流域から土砂や水の動きに注意すべき範囲を,理解しやすい.

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© 2019 日本第四紀学会
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