第四紀研究
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「第四紀研究から防災・減災への多角的なアプローチ」 特集号
更新統塩原層群宮島層における湖成年縞堆積物に挟在するイベント堆積物の特徴とその識別方法─側方変化を考慮した堆積過程の検討─
佐々木 華大西 由梨石原 与四郎
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2019 年 58 巻 2 号 p. 237-249

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抄録

更新統蒜山原層の湖成年縞堆積物の研究から,堆積過程の側方変化に基づく「洪水性イベント重力流堆積物」と「崩壊性イベント重力流堆積物」の識別方法が確立された.すなわち,洪水性イベント堆積物は側方への連続性が良い一方,崩壊性イベント堆積物は側方変化が大きく,層厚も層相も大きく変化する.この識別方法を更新統塩原層群宮島層のイベント層の解釈に適用した.その結果,識別方法は妥当でありかつ,ハイパーピクナイトとハイポピクナイトもしくはホモピクナイトと推定される洪水性イベント堆積物の識別にも,堆積過程の側方変化を考慮すれば良いことがわかった.すなわち,ハイパーピクナイトは下位層への侵食を示し,層相は比較的側方に変化するが,層厚の側方変化は僅かである.一方,ハイポピクナイトもしくはホモピクナイトは下位層を侵食せず,層厚や層相は側方に数km追ってもほぼ変化しない.

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© 2019 日本第四紀学会
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