北海道東部太平洋岸に位置する霧多布湿原一番沢で津波堆積物の分布限界を明らかにするための地質調査を行った.その結果,先行研究で報告された地点より約1km内陸側にも津波堆積物が分布することが明らかになった.火山灰層序および14C年代測定により,一番沢本流部の海側の砂層は17世紀または13~14世紀の津波堆積物に対比された.また一番沢本流部の内陸側の砂層は13~14世紀の津波堆積物に対比された.さらに一番沢支流部においても上流部に向けてシート状に分布する津波堆積物を確認した.これらの結果は津波の数値シミュレーションに対する新たな制約条件となる可能性がある.