第四紀研究
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ミニシンポジウム 「首都圏の地下を探る」 特集号
武蔵野台地の新たな地形区分
遠藤 邦彦千葉 達朗杉中 佑輔須貝 俊彦鈴木 毅彦上杉 陽石綿 しげ子中山 俊雄舟津 太郎大里 重人鈴木 正章野口 真利江佐藤 明夫近藤 玲介堀 伸三郎
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2019 年 58 巻 6 号 p. 353-375

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抄録

国土地理院の5m数値標高モデルを用いて作成された武蔵野台地の各種地形図により,武蔵野台地の地形区分を1m等高線の精度で行った.同時にデジタル化された多数のボーリングデータから各地形面を構成する地下構造を検討した.その結果得られた地形面は11面で,従来の区分とは異なるものとなった.既知のテフラ情報に基づいて地形発達を編むと,従来の酸素同位体比編年による枠組み(町田,2008など)と矛盾がない.すなわち古い方からMIS 7のK面(金子台・所沢台等),MIS 5.5のS面,MIS 5.3のNs面,MIS 5.2-5.1のM1a面,M1b面,MIS 5.1からMIS 4の間にM2a面,M2b面,M2c面,M2d面,MIS 4にM3面,MIS 3-2にTc面の11面が形成された.武蔵野台地は古期武蔵野扇状地(K面)の時代,S面,Ns面の海成~河成デルタの時代を挟み,M1~M3面の新期武蔵野扇状地の時代,およびTc面の立川扇状地の時代に大区分される.M1~M3面の新期武蔵野扇状地が7面に細分されるのは,M1面形成後の海水準の段階的低下に応答した多摩川の下刻の波及による.

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© 2019 日本第四紀学会
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