第四紀研究
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熱海市伊豆山地区土砂災害の盛土と土石流堆積物に含まれる軟質泥岩礫
北村 晃寿
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2025 年 64 巻 2 号 p. 27-31

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抄録

2021年7月3日に静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川沿いで源頭部にあった盛土の崩落により土石流が発生し,死者・行方不明者28人,全・半壊家屋64棟の被害をもたらした.本研究では,盛土崩落の原因究明に関わる盛土材料の物性と産地に関する調査を行った.地山由来の火山岩礫のかさ密度は2.1~3.2 g/cm3である.黒色盛土と土石流堆積物に含まれる軟質泥岩礫の乾燥かさ密度は約1.4~1.7 g/cm3, 湿潤かさ密度は1.7~2.2 g/cm3, 含水率は20.6~45.2%である.また,一部の軟質泥岩礫はスレーキング現象を起こすことが分かった.さらに,土石流堆積物に含まれる軟質泥岩礫から発見された海生二枚貝化石により,泥岩礫の原岩としては神奈川県相模原市に露出する上部鮮新-下部更新統の大塚層の可能性が高いことが分かった.

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