第四紀研究
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黒曜石と石鏃からみる縄文時代早期人の行動領域
大工原 豊三浦 麻衣子建石 徹二宮 修治
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論文ID: 65.2413

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抄録

群馬県居家以岩陰遺跡では,縄文時代早期の遺物包含層および土壙墓から黒曜石が多数出土しており,石鏃が製作されていた.蛍光X線分析による産地分析の結果,長野県和田峠周辺(小深沢・星ヶ塔など)の黒曜石が搬入されていたことが判明した.また,黒曜石製の石鏃(鍬形鏃・柳久保型)は層位により形態と原産地が異なることが判明した.そこで,群馬地域での同時期の石鏃の形態・石材産地と分布傾向を検討したところ,鍬形鏃の段階(押型文系土器段階)では,利根川中流域に活発な活動領域が存在し,ここを拠点とした回帰遊動が行われていたことが判明した.ところが柳久保型石鏃の段階(沈線文系土器段階)では赤城山南麓に活動拠点が形成されていたことが判明した.また,東関東とのヒト・情報の移動も時期により異なるものであったことも判明した.なお,両時期とも黒曜石の調達は,狩猟活動と黒曜石調達が連動した埋込戦略(embedded strategy)が採用されていたと考えられる.

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