第四紀研究
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花粉分析からみた後氷期の気候変遷
塚田 松雄
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1958 年 1 巻 2 号 p. 48-58

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抄録

日本における主要四地点の花粉分析結果から後氷期の森林・気候変遷を論じた(Fig. 2) その結果. 下層より, 寒冷期は今より-3℃低温, 温暖期は今より2°-3℃温暖であつた (Fig. 3) 更に世界各地の花粉分析結果と対比した時日本でも同様な気候変遷がみられる. 堀の泥炭堆積速度, Blytt-Sernander の時代決定, ヨーロツパ, 北アメリカ等の花粉分析の資料を考慮して, 寒冷期と温暖期の境界, 温暖期と減暖期の境界の絶対年代につき Table 1の如く整理した. 前者は6000-5500年, 後者はB. C. 2000-1000年となる.
この温暖期は東京湾の海進時に, 減暖期は海退時に対比され, 繩文と弥生時代の境界はB.C. 2000-1000頃となる. 尚C14による繩文晩期及び繩文前期の丸木舟の破片の測定は, 前者がB.C. 1122±180年, 後者がB. C. 3145±400年となり略々一致する.

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