第四紀研究
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中央日本の山地における洪積世氷期の堆積段丘
式 正英
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1974 年 12 巻 4 号 p. 203-210

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抄録

1. 氷期の気候段丘を仙丈岳藪沢, 蒲田川上流部, 梓川上流部において調査検討しほぼその態様を確かめることができた.
2. 氷期の気候段丘として明瞭に固定し得るものは, 日本においては, 現在のところ, 高山地域の河川上流部にしか認めることができない.
3. その種の気候段丘には2種類あり, 一つは圏谷底又は氷食U字谷末端の高度に連続して頂面を有する河岸段丘で, 圏谷底や氷食谷底に近い上流側に位置しており, プログレーシャルな位置に生じたモレン又はアウトウォッシュ堆積物である.
4. 他の一つは相対的に下流側にあるもので, 氷期における1000mほどの樹木限界の低下によって生じた過剰荷重の貯溜によって生じたものであり, 現在の河川はこれを開析する. またその形成には, 段丘下流側の峡谷部が堰止作用を果してきた.
5. これら気候段丘の砂礫の層厚はいずれも数10mないし2~300mに及ぶ. 後者の段丘規模は前者に比し著しく大きい. 又, 後者は沖積世の火山泥流段丘や土石流段丘と比べ砂礫量のオーダーがそれぞれ100倍および1000倍である.

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