奈良盆地西部の五条山周辺に分布する, 大阪層群下部あるいは最上部にあたるとされる海成粘土層より, 冷温帯種 (Chamaecyparis pisifera ENDL., Fagus aff. hayatae PALIB., etc) と, 暖温帯-亜熱帯種 (Paliurus sp., Stephania japonica MIERS, etc) が共存する植物化石群集を認めた. 近接した3地点で調査したが, 化石群集の種構成や層位的産出状況に目立った差異は見られなかった. 両者は, その産状より, 遠距離から運搬されておられず, 少くともきわめて近接して生育していたと考えられる.