第四紀研究
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我が国の土壌中に含まれる微細石英の風成塵起源について
成瀬 敏郎酒井 均井上 克弘
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1986 年 24 巻 4 号 p. 295-300

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抄録

我が国に分布する土壌のうち, 火山灰土 (クロボク土), 古砂丘下に埋没する古土壌, 玄武岩台地や海成段丘上にのる土壌, 南西諸島の赤黄色土など, 北海道から与那国島にかけての地域で20試料を採取した.
試料土壌中に含まれる微細石英 (1~10μm) は, 10~30%と多く, この微細石英の起源を明らかにするために石英の酸素同位体比 (18O/16O) を求めた.
その結果, 完新世に生成された火山灰土や黄色土中に含まれる微細石英の18Oは15.4~15.9‰であり, これまで行われた研究の結果とほぼ一致した. 最終氷期に生成された土壌についても, ほぼ同様の値が得られ(δ18O=14.1~15.5‰), これも, 従来の研究の結果とほぼ一致した.
以上のことから, 我が国には最終氷期, 後氷期を通じて頻繁に風成塵が飛来し, また雨水や雪にともなって降下堆積し, 土壌の母材になったことが明らかとなった.

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