第四紀研究
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大阪層群最下部の後期鮮新世植物化石層序と植物群の絶滅過程
百原 新
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1992 年 31 巻 2 号 p. 77-89

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抄録

大阪府泉南地域の上部鮮新統大阪層群最下部の大型植物化石群を記載した. 日本から絶滅した48種を含む221分類群を同定し, 下位よりOS-I~OS-VIIの7分帯を設定した. OS-I帯, OS-III帯, OS-V帯, OS-VII帯は現在亜熱帯に分布する分類群を含み, それを含まないOS-II帯, OS-IV帯, OS-VI帯よりも気候は温暖だったと考えられる. 約300万年前のOS-I帯は鮮新・更新世を通じてもっとも温暖で, 日本から絶滅した植物群が繁栄していた. OS-II帯の気候の寒冷化とOS-II帯からIII帯にかけての堆積盆周辺の古地形の変化が, ユサン層の一種・フウ属の一種・セツリミアサガラ属の一種・セコイア属の一種を含む植物の絶滅を引き起こし, モミ属・ツガ属・スギ属などの温帯針葉樹を増加させた. 絶滅種の多くはOS-III帯の終わり頃 (約250万年前) までに絶滅する.

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